ハンガリー狂詩曲

ブダペストに住む思考の軌跡

Mester gyrosのギロピタ

さて、久々のギロピタの記事です。

今回は、ブダペストの市街地の南の方にある、「Mester gyros」を訪ねました。

野球チームのロゴのような真紅の丸い看板が目印です。

Best QualityでDeliciousだと書かれてます。楽しみです。

ブダ側からペスト側に行くための複数ある橋のうち、最南の橋付近にあります。

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外観

ギロピタを注文

さてメニューですが、注文カウンターの横に掲げられてます。

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手書きのメニューです

下から5番目と4番目にgyrosの文字が見えます。

gyros pita 600ft。

私が見てきた中で最安値です。

迷うことなく、ギロピタを注文しました。

こちらの店舗ですが、ピタはトースターで焼いてくれるようです。これは初めてです。他のどの店舗でも、作り置きの冷めきったピタを使うことが多かったですが、この店舗は違いますね。

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ピタを焼いている店員

玉ねぎ入れるか、辛いソースは大丈夫かと聞かれます。これもいつものギロス屋さんのプロトコルです。

英語が通じます。カードで支払い可能です。

ギロピタを受け取る

ギロピタをテイクアウト形式で注文しました。銀紙と、その中に薄い紙で包まれています。

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なぜかピタの切れ端が上に乗っている

こちらのギロスの特徴ですが、分厚めに切られた鶏肉が使われており、他のギロス屋さんに比べると、ケバブに特徴的な焦げ目が少ないです。低温料理した肉のようにプルプルしてます。

またザジキはあまり主張せず控えな量ですが、そのバランスがいい感じです。

具の入れ方もギロピタが、上から肉・野菜・肉という3段構造になっているのをはっきりと感じられます。

そのため、最初タバスコの辛いソースとケバブを楽しんだ後、しゃきしゃきの玉ねぎとトマトなどの新鮮野菜でサラダを楽しめます。そして、最後にまた肉を食らう。

「安い、早い、うまい、多い」が揃ってます。

最安値でそれなりのボリュームもあり、おすすめのギロピタです。

ただ、ケバブのソースの味がちょっと薄かったです。

キャベツのシュトゥルーデルがおいしかったよ

以前シュトゥルーデルを食べたという記事を書きました。

hungaryrhapsody.hatenadiary.com

Túrós rétesというパンのような洋菓子です。 トゥールーシュ・リーテシュと読みます。元々はオーストリアの家庭料理のものらしいです。 パンだと思っていましたが、何を巻くかによって食事にもなるし、お菓子にもなり得るもののようです。

この記事ではチーズが入ったスイーツ風のものをいただきましたが、今回は惣菜系シュトゥルーデルを食べました。

以前と同じお店に売っていました。

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Káposztás rétesといいます。

一つ100円くらいです。大きさとしては、野球のロジンバックくらいの大きさでしょうか。

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買ってみて屋外でみてみると、店で見たときの印象とは違いました。

キャベツしか入ってない。

そして粗めの胡椒で味つけられている感じでしょうか。

写真映えするビジュアルではありません。

しかし。

これが、非常に美味なのです。

味付けが施されたキャベツで、中身がぎっしり詰まっており、くせになるような塩分味があります。

食べ応えとしては、中華の春巻きのようですが、中華ほど、それほどしつこくありません。

おそらく周りを包む生地はスイーツ系シュトゥルーデルと同じですが、中身が異なるだけで全く違う料理です。

マシューマコノヒーのように、変幻自在な顔を見せてくれます。

時間がたっていて冷めていたのだけが残念でしたが、カードチーズシュトゥルーデルより好みかもしれません。

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餃子みたいです

Habos Gofriでワッフルを食べたよ

気温が5度を下回ると、散歩も難しいですね。

というわけで、早足で散歩していたら、ワッフル屋さんを見つけ、感じの良さそうお店だったので紹介します。

Habos Gofriというワッフル屋さんです。

オーストリア駅から西に2,3分歩き、左に曲がるとあります。小さな店なので、見逃さないように気をつけましょう。

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外観

人気店なのでしょう、私がついたときにはすでに5, 6人のお客さんがワッフルを頬張ったり、タバコを吸ったりしていました。

この店はカウンターと調理場所しかないので、店内と呼べる空間はありません。

外に足の長い丸いテーブルがありますが、立って食べるための机で、緊急事態宣言の今となっては折りたたまれているので使用不可です。

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ワッフルのメニュー。トッピングが主に載っています

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ドリンクメニュー。

飲み物も全体的にリーゾナブルです。

私の前にいたおじさんは、ストロベリークリームの載ったワッフルと、ホイップクリームの載ったワッフルを1人で二つ注文し、食べていました。

注文した

  • ワッフル Waffle
  • ヘーゼルナッツプリン Mogyorós puding 150ft
  • バナナスライス Banana 200ft
  • ホイップクリーム Whipped cream 150ft

で注文しました。マギョローシュプディングというのがあるそうです。

ヘーゼルナッツ味だと説明してくれました。

3分程度待っていると購入するところの横にある別のカウンターから受け取ることができます。

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買うところとは別にあります

アイスのチョコモナカジャンボくらいのサイズのワッフルに、ヘーゼルナッツプリン、バナナ、ホイップクリームの順に載っています。

むむ、これは。

冷めてますがとても美味です。

ホイップクリームは市販のやつのようですが、ヘーゼルナッツ味のプリンとよく合います。

バナナの自然な甘みも同時に感じられ、食感的にもいいアクセントになります。

今回はトッピングをもりもりにしてしまったので値が張りましたが、また訪れたいと思います。

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ホイップクリームたっぷりです

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美味でした

セントラルヒーティングシステム

ハンガリーにきて、初めての冬です。

この国の強烈な冬将軍に対抗するために、セントラルヒーティングというものがあります。

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部屋の窓枠の下にあったりします。そしてシャワールームやキッチンにもあります。

要するに全ての部屋にある気がしますが、家によって異なるのでしょうか。

これ、初めて見たときに暖房だとはまるで気づきませんでした。上の写真の回す部分も、回るのかどうかもわかりませんでした。

よく見れば、数字が書いてるので回すものなんだろうなと推測できると思いますが、知らないと部屋のなんらかの装置として見落とす程度には部屋に馴染んでいます。

セントラルヒーティングとは、一箇所に給湯器熱源装置(ボイラーなど)を設置して、熱を暖房が必要な各部へ送り届ける暖房方式[1]。全館集中暖房、中央暖房[1]ともいう。

セントラルヒーティング - Wikipedia

温水暖房です。部屋にパイプやパネルが設置されていて、その中を温水が循環することで部屋を暖めてくれるものです。

格子状の穴のところに手をかざすと生暖かい空気が上に上がるのを感じることができます。

そしてこれを使い始めて驚いたのですが、結構効き目があります。

夜つけておくと、部屋がかなり高温になります。最近だと外気は1-5度程度ですが、部屋のなかは半袖でも過ごせます。

参考

コマーロムへ行ってきた - イグマーンディ要塞プロローグ編

コマーロムに着くと私は、イグマーンディ要塞を目指しました。

イグマーンディ要塞は聞いたことない人が多いかもしれません。

私もそうです。この記事を書こうとして、訪れたはずの要塞の名前が出て来ず、インターネットで調べましたから。

重箱の隅を楊枝でほじくるような、要するにあまり訪問価値の低い観光地かもしれませんが、百聞は一見にしかず。

私を魅了するのは、旅先でのリアルな空間体験です。

この記事は以下の記事の続編です。

hungaryrhapsody.hatenadiary.com

www.iranykomarom.hu

コマーロムはほんの小さな街だという印象を受けました。

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建物の様式はブダペストの中心街で見かけるどのタイプとも異なり、民家と呼ぶのがふさわしい大きさで、その間を走る通りは綺麗に掃除されています。

首都であり有数の観光地であるブダペストに比べると、私が訪れたハンガリーのどの都市もまず人がかなり少ないので、街の活発さは劣りますし、レストランの数も全く違います。

一方、街が貧しくて乏しいということはありません。これまでもこの街はそういうあり方をずっとしてきて、これからもずっとそうあるだろうという、都市がしばしば原動力として採用している進歩とは異なる別のポリシーを感じられます。

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高い建物が少ないです

コマーロムの駅から私が目指すイグマーンディ要塞へは 、コマーロムの街の中央を南北に走る大きな通りをひたすら南下することでたどり着きます。週末の昼間でも人通りは少なく、歩道は、歩行者用のものと自転車用のものが用意されていました。

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気持ちのいい天気です

要塞のあるところへ行くために、先ほどまで歩いてきた大通りの脇道を途中進んでいく必要があります。

ここを走るバスはブダペストでみるような、青や赤の長い車両のバスとは異なるのだなと気づきました。

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google mapはこの奥を指しています

緩やかな勾配を感じながら、未舗装の道を右に進むと、要塞らしきものが見えてきました。先ほどまで閑静な住宅街だったところから数十メートルほどのところに、軍事要塞があるのです。

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見えてきました。

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立て看板がそれらしき事を書いてます

丁寧に削られた石を幾層にも積み重ねた入り口にたどり着きました。

空を見る私の視界を邪魔するものが何もなく、そこにどっしりと待ち構える重厚な門。

要塞の入り口にいくと、黄色のジャンパーを羽織った婦人がいました。車がとまっていて、おじさんと何やら話していたので待ちます。

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車がとまってるので、対応を待ってます

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値段です

大人が500ft、学生が400ftです。

200円もしないという。非常に安いです。安すぎやしないか。

展示がいまいちなのではないかという不安があります。

安すぎるととんでもないクオリティが待ち受けている、というのを日々この国で感じてきましたから、その直感は多分外れていないでしょう。

しかしもう引き返せない。

旅行者風のジェスチャーして、チケットを買うことにします。

婦人は何も言わず付いて来いという首の傾げ方をしました。私は黙ってついていきます。

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婦人についていきます

ここはすでに要塞の一部のようです。ひらけた空間につながる石畳の途中を右にいくと、スタッフルームに改装された要塞の部屋があります。待ち受ける要塞の広場らしきところに期待を膨らませながら、チケットの支払いをすませることにします。

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ちょっとした議員風の部屋です

部屋はあるものの、特に別のスタッフがいるわけではありませんでした。私の訪問時点ではスタッフは婦人1人でお客さんの対応をしているようでした。

私のような客がくるまでは立派な入り口のところで待ち、部屋に誘導して支払いをするという仕組みなのでしょう。

客もおそらく私1人です。もしかしたらその日の初めての客ですらあったかもしれません。

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この手書きのチケットはなんなのでしょうか

イグマーンディ要塞は、1871年から数年かけて建てられた要塞で、堀に囲まれています。

伸びきった枯れ草の広がる空間に私はたどり着きました。ここはイグマーンディ要塞の堀の中。

100年以上前にここで戦った兵士たちがいたのです。

しかし今は何もなさそうです。ただ、管理されてない草原が広がっている。

兵どもが夢の跡。

やはり、ここはちゃんとした観光地じゃなかったのか。

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<続く>

世界は廻り続ける

最近この本をkindleで読んでます。

What I Talk About When I Talk About Running: A Memoir (Vintage International)

What I Talk About When I Talk About Running: A Memoir (Vintage International)

日本語版も持ってるのですが、英語版も読んでみています。

しかし面白いですね。英語だとこんな感じになるのだなぁと。

英語版のタイトルがかっこいいですね。日本語の題名に先んじて英語版が存在しているようにすら感じます。

もともとの日本語の原題は「走ることについて語るときに僕の語ること」という村上春樹さんの本です。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: ペーパーバック

この本では村上春樹さんが取材先のギリシャでどんな風に走ったかなどがエピソードごとを読むことができます。

ラソンほどの距離を走る作家というのは世界的にもめずらしいらしく、米国での取材を受けたエピソードや日本と海外を行き来しながらどうやってマラソンのための習慣を維持しているかが描かれています。

そして、興味深いのは長距離を走っているときの苦しみや思考について彼がいかに感じているのかに触れることができることです。世界文学の一端を担う大作家さんも、我々と違わない脆い肉体を持っており、老いと戦い、ゴールのあとの達成感も人間的に味わっているのです。

苦しみの手触り

印象的な文を紹介します。

One runner told of a mantra his older brother, also a runner, had taught him which he’s pondered ever since he began running. Here it is: Pain is inevitable. Suffering is optional. Say you’re running and you start to think, Man this hurts, I can’t take it anymore. The hurt part is an unavoidable reality, but whether or not you can stand any more is up to the runner himself. This pretty much sums up the most important aspect of marathon running.

日本語版です。

Pain is inevitable, Suffering is optional. それが彼のマントラだった。正確なニュアンスは日本語に訳しにくいのだが、あえてごく簡単に訳せば、「痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル(こちら次第)」ということになる。 たとえば走っていて「ああ、きつい、もう駄目だ」と思ったとして、「きつい」というのは避けようのない事実だが、「もう駄目」かどうかはあくまで本人の裁量に委ねられていることである。

引用なのでもちろん、前後の文脈から切り離していますので、詳しくは原文を読んでください。

痛みは人生の一部です。それは、精神的なものだったり肉体的なものだったりするでしょう。マラソンなどの心身の疲弊以外に、我々はコントロールできない、心を損なうような痛みを人生の中で受けることがあります。

たとえば失業して家を失ったり、大事な人を失ったり、あるいは身に覚えのない冷たい仕打ちを受けることがあるでしょう。

That's Lifeです。

しかしながら、それが苦しいかどうかはーーもちろん苦しいことでしょうーーは自分次第です。

苦しみを感じるなということではありません。それは健全な心を持っている人ほどそれらが起こす精神的な損失は大きいと思います。

苦しみも自分の選択ということです。

それが選択して、自分が取り合うべき問題なのか心に問いかけてみましょう。

案外人生のなかの些細な問題だったりするかもしれません。

Let it go.

人生は廻り続けます。

I said that's life, and as funny as it may seem
Some people get their kicks stompin' on a dream
But I don't let it, let it get me down
'Cause this fine old world, it keeps spinnin' around

That's Life [Analog]

That's Life [Analog]

  • アーティスト:Sinatra, Frank
  • 発売日: 2016/02/26
  • メディア: LP Record


That's Life - Frank Sinatra

ラーコーチ・トゥーローシュを食べたよ

ブダペスト中央市場は、なかなか面白くて時間があるとついつい行ってしまいます。

今回は、ラーコーチ・トゥーローシュ(Rákóczi túrós)というのを食べてみました。

これを買ったのは、パン屋さんの上段にあって目立つ見た目だったので、買ったのに過ぎず、調べてみるとハンガリーの銘菓だと知りました。

食との予期せぬ出会いというのは、滞在中の楽しみの一つです。

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ここで買いました

↓前回のエクレアの記事

hungaryrhapsody.hatenadiary.com

ラーコーチ・トゥーローシュは、ラーコーチ・ヤーノシュさんが考案したケーキです。彼の名前を冠したケーキということです。

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ラーコーチさん

Rákóczi János – Wikipédia ラーコーチさんは、社会主義時代のハンガリーの美食界においては重鎮のような人物だったようです。 1958年、彼はブリュッセル万国博覧会ハンガリー館の厨房を率い、ソビエト党のフルシチョフ書記はパプリカチキンを2回も食べたらしいです。

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推定16cm四方です。

隣にあったアップルケーキも美味しそうだったので買ってみました。

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計780ftでした。現金で払います。

食す

さすがに公園で食べられそうになかったので家で食べることにしました。

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アップルパイは、シャキシャキとしたりんごの食感、りんごの甘みもあります。パイ生地もしっとり甘く、満足度が高いです。

そして、ラーコーチ・トゥーローシュです。アップルパイががつんと重かったので、時間を開けて、食べました。

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購入時点で潰れてしまいました

フォークを突き刺すと、泡が潰れて起こるシャリという音がします。多少乾燥することによって硬度をました微細な泡です。

泡の上はアプリコットジャムだと思われます。

下はチーズケーキとパイ生地になっています。

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口に入れると、カッテージチーズの多少癖のある味が口内で広がります。もぐもぐとしたときの風味は以前たべたシュトゥルーデルとかなり似てました。

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美味でした。色々な店の物を食べてみたいと思います。

おまけ

ブダペスト中央市場の大通りに面した入り口には寒さ対策のためだと思われるカーテンがついてました。

分厚くて重たいです。

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結構分厚いです